『暗夜行路』 志賀直哉


〜全編10まで


前回から時間が空いたが、当初の予定通り本当にゆっくり読んでいる。
というよりかは、文中の時代感覚が私の中にはないものなので、
なかなか状況が把握出来なく、すんなりと読み進んでいくことができないのが現状だ。
そんなわけで遊郭についての知識など、今得られる情報を少しずつ調べたりしながら
この作品の世界観をより味わおうとしているところである。



主人公が抱く女性という存在への意識が、主に遊郭通い、破談になった婚約の話、
女中であるお栄との関係などからみられる。
様々な女性を目にして受けた主人公の印象がありのままに語られている。
そうやって自己との対話を続けて行った結果、
彼の女性への理想は段々とひとつの方向へ向かって行く。


遊郭通いで一晩をそこで飲み明かすことも多くなった彼の生活は段々と自堕落なものとなる。
彼はそういうことにいったん区切りを付けたいと思い、
一人で小説を書くことに専念するため尾道へ行くことを決意する。



尾道という町について私はよく知らないのだが、
何とはなしにいろんなところから、この町の名前は聞くような気がする。
なんだか興味をそそられるところなので少し調べてみようと思う。


それにしても本作から醸し出される、主人公の自己への逃れようのない問いかけは
読み手のこちらも否応なしにそのように引き込む。
作品を読み切るまでは、何をしているときもどこかでこの主人公のように
物事を捉えてしまいそうな感じである。