半分寝ている日


起きた瞬間にとりとめの無い形となってしまういつもの夢の真っ最中、
突然どこか遠く彼方からけたたましい騒音が響いてきた。
夢か現実かどちらかわからないほどのまどろみのなか
なんとかそれが携帯のバイブ音であるとわかる。


着信表示を無理矢理開いた片目で確認し、いつものように無視し再び夢の中へ。
ところがその10秒後には部屋の据え置きの黒電話がジリジリジリと。
もう完全に起こされしょうがなく受話器を取る。


親からの電話だった。


用件は知人から自分宛のファックスがあるので送りたいというものだった。
すぐに近くのコンビニに駆け込みファックスの受信をしてもらう。
いつもならまだ眠りの中にいる時間なので身体がきちんと起きてくれない。
眼球は赤く充血しているし骨の節々が痛む。


用件は急なものだったので部屋に戻ってからすぐに取りかかる。
相変わらず気分が優れないがなんとかからだは起きてくれたようだ。
コンビニで買ってきたにぎり飯を食らい、絶対に栄養がなさそうな野菜ジュースを一気に飲む。


腹が落ち着いたところで部屋を出る。
残暑の日射しは予想以上に強烈でその光は目の奥を突き刺してくる。
目抜き通りの歩行者の喧噪の中を自転車でつっきって目的地に向かう。
途中、汗のかきすぎで気持ち悪そうな顔をこちらに見せつけてくる営業の男と目が合う。
俺にあんなことができるだろうかとアタマによぎったが、
次々と迫ってくる通りの人間を、さながらシューティングゲームの敵に見立て
狭い隙間をきれいに通り抜けていくイメージを頭に描くことでいっぱいいっぱいだ。


目的地では、なんらたわいもない話を交し、足早に用件を済ませる。
特別感慨にふけることもなくいつものように淡々と建物の階段を下りていく。
自転車置き場へ真っ先に向かい、よっこいしょっという言葉を心の中で発し再びペダルに足を乗せる。


帰りは、ありもしない妄想やつまらない日常への理不尽な文句を
ぶつぶつ呟きながらちんたらと足を動かす。


こんな日をいままでも何回か経験しているなと思った。