『恋におちたら』 サニーデイ・サービス

東京

東京


シングルとして発売もされているように、
ひとつの楽曲として繰り返し聞くに堪える存在感は十分にある。
けれどもこの曲はアルバムを通してその流れの中で聞いたほうが遥かに生き生きとする。
一曲目『東京』から二曲目に収められるこの曲への繋がりはそれほどすばらしい。
'始まりの季節感'という誰もが青春時代に味わった
あの感覚を鮮やかすぎるほどに再現してくれる。


思い起こされるのは、いつか感じた、すこし甘酸っぱくて、淡い色をしたあの記憶。
春の季節。


もうこれ以上の言葉は無用だと思う。
すべてはこの曲の詞として表されてしまっているから。
作詞を手がけた曽我部恵一は叙情的言葉をもって完璧すぎるほど青春を書き出している。
今じゃもう、文字を見ただけで気恥ずかしくなるような言葉も、
音楽という武器があればいつだってみんな素直になれる。


晴れ渡り、季節外れに陽気なある一日の始まり、いつもこの曲を聴きたくなる。