小さな鼻


二日風呂に入らないと体から匂いがしてくる。
古い皮脂が残ったままで、体が油っぽい感じになる。
取り替えていないシャツからも同様の匂いがする。
髪はしっとりとして無造作にかわったクセがついている。


自分の匂いは嫌いではない。
むしろ二日くらい体を洗っていない状態くらいの匂いがちょうどいい。
自分の肉体の状態を把握できる。
動物的な本能の部分なのかもしれない。


自分の匂いには慣れているからいいけれど、
他のひとは自分の思っているよりもにおっているのだとは思う。
他人の匂いというのは堪え難いものだ。
生理的嫌悪感というものだろう。
嫌いな匂いはどうしても受け入れられない。
その人のことがいやではないが生理的に受け入れられないということはよくある。


逆に生理的に惹かれる匂いというのもあるだろう。
その人から発せられる体臭がなぜかたまらなく好きだというものだ。
フェロモンというものが関係しているのかもしれない。
これも理性ではない動物的な本能であろう。


清潔にしすぎている社会ではこういう動物的な感覚が衰えてしまう。
異性との相性は性格だけではなく肉体的なものも重要である。
そういう事実を曖昧にしている社会の風潮はどこか不自然だ。


匂いのある世界が失われているような気がする。