上原ひろみの少年性


深夜、テレビに上原ひろみがでていた。
相変わらずのキャラクターで、私はそんな彼女の存在自体がその演奏とともに大好きである。
自由奔放というか、とにかく明るくて純粋そうなところにとても惹かれる。


ところで、彼女の曲のなかで私が好きなものも、それと同じようなところにあるのかもしれない。
『summer rain』、『Kung Fu World Champion』などの曲は
聴いているだけで無条件に体がうずき、ワクワクしてくる。
だが彼女の曲は、単純に聴いていて気持ちいいという感動以外に
どこか私に共鳴するものがあるのを感じる。
一体なにがそうさせるのだろう?


それは彼女の内には、なぜだかわからないが、少年、がいるからではないだろうか。
たとえば『Kung Fu World Champion』に代表されるように、
彼女の曲の中で私が特に好きなものは、聴くものを絶えず楽しませ、飽きさせない。
まるで無邪気な少年が、見て、見て!とこちらに向かって
これでもかというくらいはしゃぎまわっているようだ。
跳ね回るようなダンスを踊り、いたずらっぽい仕草を
こちらに見せつけながら、茶目っ気たっぷりな表情でこちらを見ている。
寝ても覚めても遊びが大好きな小学生の男の子のように。


ライブパフォーマンスをテレビで何度かみたことがあるが、
そのときの彼女の顔はもうほんとうにこっちがあきれるくらい嬉しそうに笑っていた。
ベースの演奏者もドラムの演奏者も互いに呼応するように楽しそうに笑っていた。
その輪にすこし嫉妬してしまいそうなほどに。


彼女の演奏を聴いている間、私は何も考えず
少年の頃に返って、ただただ友達である彼と遊んでいるだけなのである。
あるときはにらめっこ、またあるときは鬼ごっこなんかをしながら。