知らない色


テレビによって家に居ながら世界の国の人々のことをいくらかは知ることが出来る。
しかもアンテナを張って注意深くしていれば思ったよりいろいろな情報を得ることが出来るのである。


私は、旅番組や外国語講座を好んでよく見る。
そういった番組は、報道ニュースのように政治的なことを中心に扱うのではなく、
食べ物や言葉などの文化的なことを扱うからである。
現地の生活をそこで生活する人に近い距離で捉えている番組はとても興味深く、見入ってしまう。


最近はアジアの国について特集したものを見るのが楽しい。
特にベトナムやタイ、インドネシアなど、東南アジアの国々に興味を引かれる。
服や食べ物に表れる色使いが好きだ。
日本の色よりも原色に近い濃さを持っていて、またそれが現地の強烈な光によって色が映える。
まばゆい光に照らされながらも決してそれに負けない存在感を
放つ色彩になんともいえない艶かしさを感じる。
私はわりと淡い色の服を好んで着るのでこのままの格好で現地に行ったら、
強烈な日射しによって真っ白な存在へとかき消されてしまいそうだ。


こんなふうに、自分と異なる文化をもって生きている人々のことを知るということに、
年を重ねていくに従い、強い刺激を感じるようになってきた。
それだけ自分が日本人であるということを意識するようになってきたのかもしれない。
またそれと共に、自らが生きる国の言葉や文化をもっと知りたいとも思うようになった。
様々な知識の獲得によって、それを意識できるようになったのだとしたら、
それを可能にしてくれたこの国に生まれてよかったと純粋に思う。