『東京』 くるり

東京

東京


96年に京都のある大学のサークル仲間3人によって結成されたバンド。
この作品が彼らのメジャー1st シングル。


当時の状況に詳しくないので推測でしか書けないのだが、
おそらく、彼らが初めて東京に進出して来たということ、
つまりメジャーという舞台に乗り上げたという表明を
明確に意図してつくられた作品なのではないだろうか。


東京という都市に出てきた人間の多くがそれを目の当たりにして受ける感覚、
そして目の前に溢れる情景が手紙を宛てるような文体の詞で綴られる。
詞に表れる「君」と「僕」の関係によって思い起こされる感情は、
思春期の若者の純粋であるがゆえのやり切れなさを見事に表現している。


こういう表現が正しいかはわからないが、音は正統的なロックバンドという印象。
エレキギター、ベース、ドラムの三人で構成されており、
そのサウンドは心地よい隙間を持ちながらも、がっちりと安定した音を出している。
詞の内容からして過去の日本のフォークソングの影響も見られるよう。


実はリアルタイムで3rdシングル、4thシングルを
買って聴いていたがどうも馴染めなく敬遠していた過去がある。
しかし今回、この曲を聴いて、「失敗した。」と思ってしまった。
当時、この曲を買って聴いていれば間違いなく彼らを追い続けていたに違いない。
この曲に見せる顔が彼らの一番の特徴であったからだ。


個人的にSunny Day Service の『東京』と同じような意味合いを持つ作品と捉えている。
大好きな作品になりそうだ。