犬は吠えるがキャラバンは進む

hygrometry2005-11-29



何年か前、CDレンタルをしていたが、
なぜかあまり聴かないままハードディスクの中に眠っていたアルバムであった。
最近よくシャッフル再生で音楽を聴くようになったために、
何度かこのアルバムの曲に回って来るようになり、
改めてその存在に気づいたのだが、
どの曲も今私がどこかで求めていた音に驚くほど一致している。


アルバム全体に渡って音が走っている。
アルバムタイトルに私が無意識の中で影響を受けているのかもしれないが、
それを考慮してもこのアルバムにはなんというか心地よい疾走感が溢れている。
強烈にこちらをひっぱっていくような力ではなく、
あくまでクールに、軽快に、そしてリラックスして音はこちらに語りかけてくる。


私はこういうグルーヴをもちながらも音の隙間が感じられる音楽が大好きである。
しかし、この小沢健二の音楽は一体どういう分類の音楽なのだろう。
本当にすうっと耳に入ってくる音なのだが、聞き慣れた音づくりというわけではない。
さほど音楽のジャンルについては詳しくないのだが、
いまこういった音はすくなくともあまり聴かないような気がする。


どうやらこのアーティストのファーストアルバムらしい。
私感ながらなんて完成度が高いのだろうと思ってしまった。
このアルバムに共鳴した私の感性の欲求は完全にこのアルバム一枚によって満たされてしまった。
ある状況における心情や精神状態を音楽として完璧に表出した作品とまでさえ感じてしまう。
そして私にはその状況の説明を、いま自分自身がそこにいるにもかかわらず、
この作品以上に説明出来るとは到底思えない。


amazonではもう新品販売はしていないようだ。
「dogs」というタイトルに変わって再販売されている。
私の頭に浮かぶ映像はすでに、『犬は〜〜〜。』なので、
もしCDとして新たに買う場合も、中古であってもこちらにしようと思っている。