すきに変わる瞬間
「どうせ自分はみんなと同じだろ。」という仮定を突き詰めていくと、
実はだれにでも自分にしかないクセのようなものがあることに気づく。
とくに身体に染み付いたクセは、その人にしかあり得ないというものが多い。
自分にはどうあってもありえない他人のそのような行動は、
始めは生理的な違和感があり、受け入れがたい。
しかし、その行動にもだんだんと慣れてきたころに、
なぜかそれがどうしようもなくたまらないものに変わる瞬間が来る。
ほかにも、こういうことがないだろうか。
ぜったいに受けつけなかった野菜が、ある日を境にして
そのまさにいやだった部分が唯一無二の魅力に変わってしまったという経験が。
僕はちょうどそんな瞬間に、ぱーっと空が晴れわたったような気分になる。
またひとつ新しい世界に踏み入れた気がしてうれしい。